お願いだから、好きだと言って!!



「……ごめんなさい」



沈黙を破るように話を始めたのは絃だった。



「何を謝ってんだよ」



どうしてこうも素直になれないのか。



勝手に重ね合わせて、怒りに身を任せて怒鳴りつけてしまったのは他でもない俺なのに。



本当に謝るべきなのは俺であるはずなのに。



「えっ……その、蓮くんを怒らせちゃったから」



「だったらその、俺を怒らせた理由わかるのか?わかるわけねぇだろ?お前には関係ねぇんだよ。放っておけ……」



俺の前で立ち尽くす絃の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。



全てを悟っている葵と雅は、黙ってその様子を見ていた。



またやってしまった。



でも、関係ねぇよな。



母さんの知り合いの居候とはいえ、絃は赤の他人なんだから。



あの過去は……



忘れたくても消えてはくれない。



あの出来事が、今の俺がある原因だ。



「くそっ……!」



明かりのない暗闇の部屋の中で、手に握っていたスマホをベッドに叩きつけた。




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