お願いだから、好きだと言って!!



「……はぁ」



目を覚ますと、暗闇の天井が映る。



そのままベッドで寝てしまっていたらしい。



ひどい夢だ。



ついさっきまでこのことを思い出してしまっていたから、夢にまで出てきてしまったんだろうか。



……結局俺、絃に謝ってねぇよな。



過去を伝える必要は無い、他人の奴には関係ない。



どうせあと1ヶ月後には家を出ていくだろう。



そう思うのに、自分の過去にとらわれて、何の関係もない絃を突き放してしまったことに後悔している自分がいる。



俺はどうしたいんだ……



自問自答してみても、なかなか答えは見つからない。



部屋の暗闇が、さらに闇の奥へと引きずり込んでいくようだった。



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