お願いだから、好きだと言って!!






「……っていう事があってね。蓮は、人を好きになることをやめたんだよ。まぁ俺もトラウマで女嫌いになったんだから、蓮とは真逆だけど人のことは言えないね」



全ての話を聞き終えたあとは、明るかった空もすっかり紺色に染まり、夜になっていた。



私が話に夢中になっている時に、いつの間にか葵くんが部屋の電気をつけてくれていたらしい。



「そんなことがあったんですね……」



何か理由がある。



そう思っていたけれど、そんな裏切りを受けた過去があったとは思ってもいなかった。



元々は何となくでOKしていた告白も、一緒に過ごしていく中で、本気の恋をした。



好きだったのに、大切だったのに……



それは偽りの恋で、蓮くんはただブランド品のように飾りとして利用されていただけ。



そんな事実を知った時、蓮くんはどんな気持ちだっただろう。



考えるだけで、胸が苦しくなる。


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