お願いだから、好きだと言って!!







***



────ピンポーン



「…………」



インターホンを何度鳴らしても、鍵を解除してくれる気配がない。



今日も楽しかったといい気分で帰ってきたのに、佐伯家の皆さんは留守。



葵くんはきっと、グラウンドでサッカーをしているのが見えたから部活。



帰るのは日が暮れる頃。



雅さんは、確か今日はアルバイトの日だっけ?



蓮くんは私より先に学校を出ていたはずなんだけど……



まさかどこか寄り道してるとか?



いやいや、女遊びはやめてお誘いは全部断っていたみたいだし……それはないかな?



でも、男の子の友達のひとりやふたりはいるよね?



まさか、私を忘れて遊びに行っちゃった?



そんな……誰か帰ってくるまで外で待たなきゃいけないの?



最悪だ。



もうすぐ夏がやってくるこの季節。



暖かい風が私の眠気を誘う。



誰かが帰ってくるのを壁に寄りかかって待っているうちに、そのまま私は眠ってしまっていたらしい。


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