お願いだから、好きだと言って!!
今日から私が借りる部屋は、少し前まで葵くんたちのお父さんとお母さんが使っていた寝室。
今は海外に行っているから、家具以外は何も無い。
何も無いと言っても、揃ってる家具は十分すぎるもので、ベッドはひとりで使うには勿体無いくらい大きいダブルベッド。
壁にはクローゼットが埋め込まれていて、全身ミラーもあれば、ドレッサーもある。
居候している身と思えば、贅沢すぎる……
「葵くん、本当にここ使っていいの?」
「うん、もちろん!絃ちゃん以外に使う人いないし……じゃあ荷解きあるだろうから僕は戻るね!」
「あ、ありがとう葵くん」
「えへへっ、照れちゃうなー」
葵くんは、本当に嬉しそうに飛び跳ねながら部屋へ戻って行った。
「本当、可愛い……」
蓮くんと雅さんとは天と地の差だ。
沢山いろんなことを教えてくれて、とても助かった。
葵くんがいなかったら、どうなっていたことか……
これからどうしたらいいのかは、まだ分からない。
3人を落とさなきゃいけないことに変わりはないけれど。
「はぁ」
一つため息をついてから、ダンボールを開けて整理を始めた。