お願いだから、好きだと言って!!
「もう、早く服着てよ」
「わかったよー。本当はもっと絃ちゃんのこと、ドキドキさせたかったのに」
……バカ。
そんなこと誰も頼んでないのに。
「ねぇ、絃ちゃん。ここ座って?」
「え?」
上を着て、こっちに来た葵くんの右手にはドライヤーを持っている。
そのままソファーに座った葵くんは、そう言ってトントンと左手で座る場所を指示した。
「えっと……」
「髪の毛、まだ乾かしてないんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら、おいで?」
そんな可愛らしい無邪気な笑顔で誘われたら、断れない。
葵くんの指示通りに、目の前に座り込む。
電源を入れたのか、ブォーとドライヤーの温風の音が聞こえる。
それと同時に、葵くんが私の髪に触れた。