お願いだから、好きだと言って!!



「絃ちゃん、絃ちゃーん、起きて?」



「……んぅ」



誰、こんなに気持ちよく寝ている時に……



必死に遮ろうとするけれど、私を呼んで身体を揺する動作は終わらない。



「もう、可愛いんだから。早く起きないとキスのイタズラしちゃうよー?」



「はっ!」



耳元でそう囁かれて、初めて身体がぶるっと震えて飛び起きた。



「あははっ、絃ちゃんって面白い!からかいがいあるね!」



……なんかそれ、どこかで言われた気がする。



そんなことより、



「ここ、どこ?」



「あれ、忘れちゃった?佐伯家だよ〜僕の家!」



「ふぇ!?だ、誰って……葵くんか」



そうだ、私今日から佐伯家にお世話になることになったんだった。



確か荷解きを始めて、ある程度落ち着いた頃には疲れちゃって……



ベッドに倒れ込んだら、あまりにもふかふかで気持ちよすぎてそのまま寝ちゃったんだ。


< 24 / 260 >

この作品をシェア

pagetop