お願いだから、好きだと言って!!



「ちょっと、絃ちゃん!?」



「あー、葵くんただいま」



「べしょ濡れだよ、絃ちゃん!大丈夫!?」



葵くんが私の姿を見て、目を丸くして驚くのも無理はない。



駅から家まではなかなか遠くて、制服は絞れそうだし、髪の毛やスカートからも雨の雫がしたたれてしまっているんだから。



「雅兄!バスタオル持ってきてー!!」



「ごめんね、葵くん。ありがとう」



玄関から、雅さんにバスタオルを持ってきてもらうように声をかけてくれて、とても助かった。



「僕、お風呂沸かしてくるから、先に入りなよ。風邪ひいたら大変だから」



そう言ってお風呂場へと行ってしまった。



本当に葵くんは、どこまでも優しいんだから。



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