お願いだから、好きだと言って!!
「はい、バスタオル……って絃ちゃん、傘持って行ってなかったの?」
「あはは……雨降るだなんて思ってなくて。ありがとうございます、雅さん」
私の酷い姿を見て、葵くん同様目を丸くして驚いていた。
「ふん、バカな奴」
「……っ」
そこに部屋に戻ろうとしたのか、ちょうど通りかかった蓮くんにバカにされた。
そんな、好きでこんな格好になってる訳じゃないのに。
どこまでも酷い。
「絃ちゃーん!お風呂準備オッケーだよ!」
「はーい!」
「絃ちゃん、制服は干しておいて上げるから脱いだあとドアの前にでも置いておいて」
「何から何まで、ありがとうございます」
ほら、雅さんと葵くんはこんなに優しいのに……
同じ兄弟のはずの蓮くんは、いつからそんなひねくれ者になっちゃったの?
そんな母親のような気持ちになりながら、有難くお風呂に入らせてもらうことにした。