お願いだから、好きだと言って!!
佐伯家に居候を始めた日、初めて食べたご飯が雅さんの作るハンバーグだった。
今、雅さんが作っているデミグラスソースのハンバーグ。
本当に、本当に最後かもしれないんだと思うと、永遠の別れのような寂しさが込み上げてくる。
「……うぅっ」
やっぱり私、この家が大好きなんだな。
女嫌いなのに、私には少しずつ心を開いてくれて変わってきた優しい雅さんも、すぐ甘えてきて私を好きだと困ってしまうくらい言ってくれる葵くんと……
嫌味ばかりでムカつく蓮くんもいるけど。
そんな3人がいて、賑やかなこの家が大好きなんだ。
だから……出ていきたくない。
最初は男ばかりで、クラスメイトがいてあんなにすぐ引き返したいとまで思っていたのに。
帰る家がなくて困るんじゃなくて、この家を出たくなくてこんな気持ちになるだなんて、思ってもいなかったよ。