お願いだから、好きだと言って!!
「寝ぼけてる絃ちゃんも可愛いね?」
「か、可愛い……?」
「うん、とっても可愛いっ」
その笑顔の葵くんの方が、とっても可愛いと思います、はい。
「そうそう。夕飯できたから呼んで来いって言われたの。行こ、絃ちゃん!」
「あ、うん」
葵くんに手を引かれたまま、リビングの方へと足を運ぶと、近づくにつれて美味しそうな匂いが漂ってくる。
この匂いは、ハンバーグ?
美味しそうなお肉の匂いと、デミグラスソースの匂い。
食べることが好きな私は、食べ物の匂いには敏感だ。
「おまたせー」
「遅い、せっかく作ったのに冷める」
「絃ちゃん、気持ちよさそうに寝てたんだもん。ね?」
ね?と言われましても……
雅さんの視線が痛くて、怖いです。
口には出さないけれど、さっさと食えとでも言ってるんだろう。
話したくもないほど女嫌いなんですね。
私が気にしながら、静かに食卓テーブルの椅子に座ると、隣では葵くんがもう元気に「いただきます!」とハンバーグを頬張っていた。