お願いだから、好きだと言って!!



「……おい」



……なんか幻聴が聞こえる。



「お前に耳はねぇのか、絃」



「れ、蓮くんっ!?」



げ、幻聴なんかじゃなかった。



後ろを振り返ると、部屋のドアの前に寄りかかる蓮くんがいた。



いや、蓮くんだけじゃない。



「雅さんに、葵くんも……」



3人とも私の部屋に来ていた。



何、これから私へのお別れの挨拶?



それもそれで、なんだか寂しいな。



「あの、雅さん、蓮くん、葵くん。……今まで、本当にお世話になりましたっ」



精一杯気持ちを込めて頭を下げたのに、3兄弟からは何も返ってこない。



むしろ、笑われているような気がする。



「待って、絃ちゃん。気が早すぎるよ?」



「へ?」



葵くんにそう言われて、顔を上げると。



お別れだというのにニコニコと笑う葵くんと、腕を腰に当てながらやれやれというような表情を浮かべる雅さん。



ど真ん中に立つのは、腕を組んでお前はバカかとでも言いたそうな蓮くん。



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