お願いだから、好きだと言って!!
「やっときた。さっさと食っちまえ。先に出てくぞ?」
「あれ、雅さんと葵くんは?」
リビングには蓮くん以外誰もいなくて、他に物音も全くしない。
雅さんが用意してくれていたのであろう冷めかけた食パンを口にしながら問いかけた。
「あー、雅は大学が遠いからいつも早いし、葵はサッカーの朝練があるみてぇでもう出てったよ」
雅さんは、あの有名大学だもんね。
それに、葵くんはサッカーの朝練か。
入学して間もないのに、よく頑張るな。
今度葵くんがプレイしてるとこ、見てみたいかも。
「その、蓮くん先に行ってもいいんだよ?」
やっぱり今日も不機嫌そうで、負のオーラを纏っている蓮くんに、遠慮がちに言ってみる。
すると、もっと不機嫌そうな声で……
「お前さ、鍵ないのにどうするわけ?」
「あ……」
そうだ、私居候だから、鍵持ってないんだ。
私が最後に出たら戸締りできないもんね。
「そういうこと。だから、さっさとしてくれる?」
「ごめんなさい……」
急いで残りを口に入れて、身支度を整える。