お願いだから、好きだと言って!!



いろいろと瞳から教わって……



日が傾き始めた頃、瞳と最寄り駅で別れた。



私と瞳の家は正反対なんだ。



……とはいえ、引っ越すことになった私の家は、学校に近づいた分、瞳の家とも少しだけ近くなったわけだけど。



3駅分JRに乗って、降りた佐伯家の最寄り駅。



「……えーっと」



私の仮の家に行くのは2回目だ。



1回目は初めて行った一昨日の話。



そして2回目が今日って訳だけど……



「確かここに……?」



カバンの中にガサゴソと手を入れて、あるものを探してみるけれど、それは見当たらない。



「……あれ、ない」



その捜し物とは、お母さんから受け取った小さなメモ。



最寄り駅から佐伯家までは複雑な道のりではなかったはずだけど、まだその行き方は覚えていない。



朝は、蓮くんが道案内してくれたけど……



朝の明るさと、この薄暗さの中では周りの風景がガラリと違う。



道に迷わないように、そう思ってメモを持ってきたはずだったのに。



「最悪だ、私帰れない」


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