お願いだから、好きだと言って!!
「……い、絃、迎えに来てくれて嬉しかったよっ」
ど、どうだっ!!
自分の事を名前で呼ぶ!
そして、瞳直伝の上目遣い!!
ベンチに座る私と、目の前に立つ蓮くん。
ここからの上目遣いは、ベストなんじゃない!?
「ひ、ひとりぼっちで……怖かったあ〜」
声を少し高くする。
うん、これも完璧だ。
「んだよ。気持ち悪い……置いてくぞ」
「……え」
もしかして、スルーされました?
いや、むしろ貶されてたよね?
悪口言われてたよね?
そんなに私、悪かったでしょうか?
瞳から教わったこと、ちゃんと出来たはず。
スパルタの恋愛スペシャリストに指導してもらったんだもん。
絶対上手くいくはずだったのに。
「え、ま、待ってよ蓮くん!」
1人で反省会しているうちに、私を置いて公園を出ようとしている蓮くんの背中が見えて、急いでその後を追っかける。
また見失ったら、次こそ私は野宿だ。
私がいた公園は、佐伯家から遠く離れていたようで、私は気付かずずっと歩いてきてしまっていたらしい。
何だかんだ迷惑を掛けてしまった蓮くんと雅さんと葵くん。
ちゃんと2人にもあとでお礼を言おう。
心の中で反省して、そう心に決める。