お願いだから、好きだと言って!!



「くくっ」



「蓮くーん、何に笑ってるの?」



「ううん、何でも」



そんなやり取りが教室の端から聞こえてくる。



あんの、馬鹿蓮くん!



好かれたくはないけど、思い通りには絶対にさせたくない。



意地でも何がなんでも私に惚れさせてやるんだから。



覚悟してなさいよ、蓮くん!



「瞳!!」



「は、はい」



「私、本気だからっ。ぜーったいに惚れさせるだから!」



「う、うん。わかったから落ち着こう?」



瞳にそう諭されて、やっとクラスの注目の的になってしまっていたことに気づく。



「やだ、私……恥ずかしい」



「今頃気づいたの?本当にもう。まぁ、絃が本気みたいだから、私も本気出すわよ」



「本当!?ありがとう、瞳!」



神様、仏様、瞳様っ!



私はどこまでもあなたに付いていきます。



「じゃあ、絃、今度の土曜日に買い出し行くわよ?」



「はいっ」



笑ってられるのも今のうちよ?



私は諦めが悪い。



私が本気を出したらどうなるか、思い知らせてやるんだから!!


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