お願いだから、好きだと言って!!



「絃ちゃーん、準備できた?」



「あ、うん。今行くねー」



そう、今日は葵くんの部活の朝練が無いみたいで、葵くんが道案内してくれる。



帰り道もまだ地図見ながら歩いてるし……いい加減道覚えなきゃね。



「ごめんね、葵くん。お待たせ」



「ううん、全然いいよ。じゃあ行こっか」



鍵を持っている葵くんが、戸締りをしてマンションを出る。



「ねぇ、絃ちゃん。昨日蓮兄とケンカでもした?」



「えっ……」



何でそれを。



「その反応は、図星だね?」



可愛く笑う葵くんには、何もかもお見通しのようだ。



「あの可愛い服のこと、何か言われたの?」



「そうなの。聞いてよ、葵くん。あいつ私になんて言ったと思う?豚に真珠よ、豚に真珠!」



もう、思い出すたびに頭にくる。



「失礼にも程があるっつーの!」



「あははっ、絃ちゃん怒った顔も可愛いっ」



「なっ……」



この子はなんですか、天使かなにか?



可愛い顔で、こんなこと言われたら怒りもすっと引いてしまう。


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