お願いだから、好きだと言って!!
僕だって、男だよ?《side葵》
「絃ちゃーん、準備できた?」
「あ、うん。今行くねー」
今日の戸締り当番は僕。
雅兄は一講目から授業があるらしくて、足早に出ていったし、蓮兄は逃げるように先に行ってしまった。
昨日から絃ちゃんと蓮兄の様子がおかしくて、きっと何かあったんだと思うけど……
何かあったとしたら、きっと絃ちゃんの服装かな。
蓮兄は素直じゃないから、似合ってても言わないだろうし、むしろ反対のことを言うと思う。
だから、似合ってないとかなんとか言ったんだろうな。
絃ちゃん、可愛そうに……
しばらくリビングのソファーに腰掛けて待っていると、
「ごめんね、葵くん。お待たせ」
ドアを開けて入ってきた絃ちゃんは、いつもと何だか雰囲気が違う。
いつもより少しスカートが短くて、少し広くあいてる胸元とか、プルっとしている唇。
……色気がある、気がする。
「ううん、全然いいよ。じゃあ行こっか」
絃ちゃんが出たのを確認して、戸締りをしてマンションを出た。