お願いだから、好きだと言って!!



「絃ちゃんが迷子になった日、心配して出てったの誰だっけ?」



「……ふん」



あの日、絃ちゃんが迷子になった日。



夕飯の時間になっても帰ってこなくて、連絡先を知らなかった僕達は連絡を取る手段も全くなくて。



きっと友達と遊んで来たんだろうと思ってはいたから、そのうち帰ってくるってそう思ってた。



でも……



ちょうどテレビのニュースで不審者が出たなんて言ってるのを見て、飛び出していったんだ。



僕が迎えに行った方がいいんじゃないの?って言ったこともあると思うけど。



なんだかんだ、蓮兄だって絃ちゃんのこと気にしてると思うんだ。



雅兄はわからないけど……



女嫌いの雅兄が、母さんたちに頼まれて仕方なくだとしても絃ちゃんを追い出さずにいるんだから、認めてるんじゃないかな?



「もたもたしてたら、絃ちゃん。僕がもらっちゃうからねっ」



「……」



少しカマをかけてみたけど……



蓮兄からの反応は何も無い。



いや、表情は変わらないけど少しだけ眉が動いたから、効果アリかな?



僕は本気だよ。



僕は、絃ちゃんに惚れちゃったから。


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