お願いだから、好きだと言って!!
───ピンポーン
噂をしていれば、家のインターフォンが鳴る。
「あ、絃ちゃんだ。はーい、今開けるね!」
鍵を持っていない絃ちゃんは、オートロックのこのマンションには入れない。
モニターに映る絃ちゃんは、やっぱりいつもより色っぽい。
そういえば、絃ちゃんと蓮兄は同じクラスだし、絃ちゃんのこと見てるよね?
どう思ったんだろう。
ロックを解除すると、開いたドアから絃ちゃんが中に入っていくのが見える。
モニターはそれを確認するのと同時に切れた。
しばらくするとガチャッとドアが開いて、絃ちゃんが帰ってきた。
僕はいつものように玄関まで行ってお出迎えをする。
「おかえり、絃ちゃんっ」
「えっ、あ……ただいま、葵くん」
「どうかした?」
「う、ううん。何でもないの」
ふふっ。
絃ちゃんたら、朝のこと気にしてるんだね。
全然僕と目が合わないし、動揺してるのがバレバレ。
これはしてやったりって感じかな?
僕って実は性格悪いかも……なんて思いながら、リビングへ戻った。