お願いだから、好きだと言って!!



「あれ、雅さんは?」



「バイトだよ」



無言のままの蓮兄に変わって、僕が絃ちゃんの質問に答える。



「そっか……」



「そうそう、今日の夕飯は蓮兄が作ったんだよー?」



「えっ、蓮くんが!?」



思った通り、絃ちゃんにそう伝えると目を丸くして驚いていた。



やっぱりびっくりするよね。



僕はいつもの事だから慣れてるけど、あの蓮兄がキッチンに立って料理してるんだから。



「悪いか?いらないなら食べなくていい」



「……いや、食べるよ!ありがとう」



「……っ、勝手にしろ」



お礼を言われたことが予想外だったのか、言葉に詰まっていた蓮兄。



絃ちゃんには余裕が無いって?



まぁ、僕の勝手な想像だけどね。



「温かいうちに食べちゃお」



僕の一言で、3人で食卓を囲んで夕飯を食べる。



雅兄はバイトのシフトが閉店の22時までだから、夕飯は別々。



お皿に雅兄の分だけ盛り付けて、ラップを掛けてある。


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