お願いだから、好きだと言って!!
「「さようなら」」
「くーっ、やっと1週間が終わった!」
金曜日の帰りのホームルームを終え、腕を上に伸ばして凝り固まった身体をほぐす瞳。
「長かったねー」
春休みのお陰ですっかり怠けてしまっていた身体を叩き起して、新学期早々始まった授業は辛すぎた。
それは疲れもたまるはず。
「ねぇ、蓮くん!これからカラオケ行くんだけど、一緒にどう?」
「あーごめん。今日用事あんだよね。また今度誘ってよ」
「そっか、残念。行こ!」
蓮くんの周りに群がっていた女の子たちがパタパタと去っていく。
そこに気だるそうにカバンを肩にかける蓮くんだけが取り残されていた。
「珍しいね、蓮くんが誘いを断るなんて」
「……そうなんだ」
その蓮くん事情とやらをよく知らない私は、せっかくのお誘いを断るのが珍しいのかどうかはわからなかったけど、瞳が言うんだからそうなんだろう。
「……えっ」
あまりにも長い時間蓮くんの方を見てしまっていたものだから、こっちを向いた蓮くんと目がバッチリ合う。
でも蓮くんは、何事も無かったかのように顔を逸らして教室を出ていってしまった。
「変なのー」
そんな姿を見ていた瞳は、不思議そうにその後ろ姿を見つめていた。