お願いだから、好きだと言って!!



「もう、いいから。こっち来て座って?」



その場から動こうとしない絃ちゃんに、しびれを切らした僕は、そばに行って手を引いて連れてきた。



座る場所を指定したところに、絃ちゃんは戸惑いながらも座る。



「今ドライヤー持ってくるからね」



洗面所からドライヤーを取ってきた僕は、絃ちゃんの後ろに座って、サラサラの綺麗な絃ちゃんの髪の毛に温風を当てる。



「熱くない?」



「うん、大丈夫」



風を当てているせいか、シャンプーの匂いが強く、鼻をかすめる。



なびいた髪の毛の隙間から見えるうなじは、また色っぽい。



……髪の毛乾かすって言ったの、間違いだったかな。



いわゆる、男の子の諸事情で。


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