お願いだから、好きだと言って!!



「ありがとう」



「本当にね、私、一人っ子だったから……可愛い弟が出来たみたいで嬉しいんだ……あっ」



「……ふっ」



弟、そう言ってから絃ちゃんは何かを思い出して、ハッとしていた。



思い当たることと言えば、朝の出来事かな。



「ねぇ、絃ちゃん。髪の毛、終わったよ?」



「え、あ……ありがとう」



きっと絃ちゃんは、何か僕に言われると思ったのか、腑抜けた顔をしている。



ふふ、そうやって、男の子の前で……



それが例え義弟の前だとしても、そんな顔しちゃダメだよ?



ドライヤーのコードを巻いていると、部屋に戻るのか立ち上がった絃ちゃん。



僕はすかさず……



「……きゃっ」



華奢な体の肩を押して、絃ちゃんを押し倒す。



テレビの音もない、静かなリビングに絃ちゃんの小さな声と、ポスッとソファーの中に体が沈み込む音だけが響いて消える。


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