お願いだから、好きだと言って!!



ガチャっと音を立てて開いたドアの向こうからは、雅さんが帰ってくる。



微かに廊下の方から話し声が聞こえたのは、雅さんだったんだね。



「おかえりなさい、雅さん」



「ただいま」



クールで冷たい雅さんは、女嫌いなこともあって私とはほとんど会話もないけど……



なんだかんだ挨拶くらいは返してくれるんだから、優しい。



雅さんは葵くんか蓮くんに聞いたのか、避けておいた焼きそばを電子レンジで温めて、夕飯の準備をしていた。



そんな様子を、未だ動けぬままの私はソファーに座りながら見ていた。



「……っ」



「何?」



「い、いえ、なんでも……」



私からの視線を感じたのか、振り返った雅さんと目がバッチリ合ってしまって、思わず逸らしてしまう。


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