お願いだから、好きだと言って!!
「ふふっ、真っ赤になってる絃ちゃん、凄く可愛いよ。今すぐ抱きしめちゃいたいくらい!」
「だ、ダメだよっ!」
「少し前なら抱きしめてくれてたのになぁ……」
シュンとする葵くんの可愛さは相変わらず。
葵くんの言う通り、少し前の私なら何も考えずに抱きしめていたかもしれない。
でも、昨日の1件で男の子を意識し始めてからは、葵くんの顔すらも真っ直ぐ見ることが出来ない。
現に、今日の朝も挨拶は交わしたけれど、それ以外の会話は出来なかった。
「あの……何も無いなら私、戻るけど……」
「あぁ、あのね、昨日宿題するために英和辞典持って帰ったんだけど、今日持ってくるの忘れてきちゃって……貸してくれないかな?」
英和辞典……?
それで私のところに?
それって……
「蓮くんじゃ、ダメなの?」