都会人の付き合い方
「おはようー…」
まだ眠気を携えながら、家族で食卓を囲む為のテーブルがあるリビングに入りながら、その空間にいる家族…お父さんとお母さんに挨拶をする。

いつもなら2人とも温かな朝ご飯を前にしてテーブルの近くの椅子に座っているのだが、今日は違う。
お父さんはタンクトップにジャージのズボン、お母さんは麦わら帽子にワンピース、そして、軍手をはめている。
その風貌は今から朝ご飯を一家で囲むような雰囲気は出ていなかった。
実際、テーブルの上には朝ご飯は並んでいなくて、その代わりに鎌やゴミ袋、虫除けスプレーなどが散らかっていた。

「え…?今日何かあったっけ…ふぁああ…む」
欠伸混じりに親に聞く。

「はぁ?まだ寝惚けてるのか…今日は町民全員参加の除草作業の日だろ?」
「だから早く起こしたんじゃない!ささっと支度する!」

勘弁してくれ…眠いんだよ…。
強烈な眠気に紛れる愚痴を心の中で零しながら、僕は着替えをする。
脱ぎ終わった服のように、眠気も寝る時以外には身につけなくて済む着脱可能の便利なグッズであればいいのになぁ。
そう思った所で、漫才のツッコミのようなタイミングで何処かのトンビが鳴いた。
< 3 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop