君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 夕食は、ダイニングテーブルの方へ移動して饗された。

 カウンターキッチンの奥からエプロンをした征治さんが給仕に出てくるたびに並べられるそれらの料理は、『板前かっ!』と、言いたくなるような和食で、見た目も美しい上に味もよかった。

「征治さんって、板前、というか、料理人、なんですか?」

「いえ、正式な料理人では無いですよ」

 征治さんは、照れたように笑うと、礼門の盃に日本酒を注いだ。

 私が征治さんに話しかけようとすると、何故か礼門が会話に割って入ってくるように話題を変える。

「守護聖獣のことだけど!」

 たんッ、と、盃を置いて、礼門が立ち上がった。

「見せた方が早いかな」

 そう言うと、腕につけたスマートデバイス、に、しては少しゴツい感じのリストバンドを構えて、

「聖獣顕現!」

 と言った。

 ……目の前に、四足の動物が出現した。これは、あれだ、見たことがある。ビールのラベルにあるやつ。

 あらわれた四足の獣は、おとなしく、佇んでいた。

「これは……」

 私は、目の前で起きている出来事に驚きすぎてもはや何を言っていいのかわからなかった。

「これが、僕の聖獣、麒麟だ」

 礼門は、まるで愛犬を撫でるようにして、麒麟を撫でた。

「で、征治は」

 そう言って礼門が征治さんに目配せすると、キッチンからエプロンをはずしながら出てきた征治さんも、同様に、リストバンドを構えて、

「せ……せいじゅう、顕現……」

 と、少し恥じらいながら言うと、あらわれたのは、大型の蛇……いや、多分、龍なんだと思う、が、あらわれた。リビングいっぱいに伸びる長いからだをもてあましながら、もたげる頭は、おとなしそうではあるが、見た目のインパクトというか、絵面の強烈さといったら。

 ここはU■Jか、はたまたディ■ニー■ンドもかくや、だ。どっちも行ったことはないけれど。

 私は、立体映像の類ではないかと、周辺を見回したが、残念ながら、視界の範囲内にそれらしい機械を見つける事はできなかった。

「私の聖獣、青龍です」

 ……どうしよう、気絶しちゃ、ダメかな。そう思ったけれど、案外気絶ってしないものなんだな、と、ただただ私は硬直した。
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