君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 まず、どれくらいの期間が必要なのか、四月からの仕事への影響はどれくらいなのか、私は確認する事にした。

 『白虎を継ぐ』為に必要な事、それは、白虎との対峙だという。

「特別な訓練は必要ないんだけど、守護聖獣の主になるには、守護聖獣に認めさせる必要があるんだ、麒麟には麒麟の、青龍には青龍の特徴があって、その方法は前の主から継ぐ事になってる、今回は、母さんが既にいないから……」

「ぶっつけ本番って事か……」

 私はつぶやいた。

「素子さん、確かに、守護聖獣と対峙し、認めさせる方法は聖獣によって異なりますが、基本となるのは精神力の強さという事です」

 征治さんが話を始めた。

「津九音市を守護する守護聖獣は、この街のランドマークとの縁が深い、私の場合は川でした、玄武は津九音山、朱雀は四季沼、そして玄武は……、つくねラインという新規の路線です」

「それ……母が元気だった頃に勤めてた会社です」

「白虎召喚当時、つくねラインは計画のみで施工されていなかったんです、だから、長らく白虎空位でもなんとかなりました。……つくねライン完成以降、奥様は、正式に守護聖獣管理部門メンバーではありませんでしたが、影からサポートされていたんですよ」

「次代の白虎も、鉄道会社のスタッフから選ばれていたんだ、その準備も進んでいたけど……」

 礼門は、本当に悔しそうにしていた。

「姉さん、僕自身は、お母さんとババアの確執はどこの家にもある事程度にしか思ってなかったんだ、どんなに性格が悪い、嫁いびりが趣味の性悪ババアでも、企業人としてのモラルを、影から国を支える、守護聖獣を伝える家の家長としての役割をないがしろにしたりはしないだろうと」

「……でも、違った、白虎の後継者として指名されていた人は、祖母に買収されて、姿を消した、今はシンガポールで起業してるんだってさ、笑っちゃうよね」

 怒りを押し殺すように笑って、礼門は言った。

「若……」

 礼門をなだめるように征治さんは続けた。

「素子さん、私達は縁の深い場所で『印』を見つけました、ですから、恐らくですが素子さんも、つくねラインでまず『印』を見つける必要があります」

「わ、私だけ、人工物なんですね」

「はい、そうなんです、ですが、『印』は場に現れるので、恐らくは『駅』なのではないかと」
 
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