君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
自覚した恋心
 夕食の席で、私は征治さんの方を見ることができなかった。

 どれほどスタイルに自身があったとしても、ふいに男性にそれを見られて恥ずかしくない事があるだろうか。ましてや、私は自分のスタイルにかけらも自信なんて持っていない。

 いや、でも、一瞬の事だったし。
 そう、思うのだけれど、征治さんの様子を伺うこともできない。

 挙動不審な私を、礼門がいぶかしんだ。

「……姉さん、何かあった?」

「ううん? 何もないよ?」

 そう、答えた私の声は、完全に裏返っている。

「……」

 じとっとした目で礼門は私を見てから、次に征治さんに話しかけた。

「征治、バスタオルさー」

「ば、バスタオル? いえ、私は見てません! ええ! 何も!」

 完全に挙動不審な様子で征治さんが答える。
 ……そして、見たんですね、バスタオルぅぅぅぅ……。
 私は逃げ出したい衝動にかられながら、礼門に不審に思われないように、(というか、既に不審以外の何者でもないのだけれど)出来る限り平静を装う事をつとめた。

「いや、そうじゃなくて、俺の部屋の方のバスタオルが余ってるから、こっちに持ってきたらって、話だったんだけど」

 私は、赤面してうつむく事しかできなかった。
 なんだか、浮ついていて、恥ずかしい……。
 嵐が過ぎるのを待つように、目を伏せていたら、今度は征治さんが心配して、側に立っていた。

「素子さん、大丈夫ですか? ……あの、先ほどの事は……、もう、考えないようにしますので」

 礼門に聞こえないような声で、征治さんはそう言った。
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