君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 一度、征治さんが唇を離すと、私は、名残惜しそうに、征治さんの腕を掴んだ。

 次に唇が重なった時には、ゆるく開いていた私の唇の隙間から、征治さんの舌が入り込んできた。

「ン……」

 私は、征治さんの唇と舌を、黙って受け入れた。唇って、こんなに柔らかいんだ、と、陶酔するように、溺れ、両手で、征治さんの背中にしがみついた。
 私と征治さんは、舌を絡ませ合いながら、しばらく抱き合っていた。

 征治さんが、私の首筋に唇を這わせた時に、私は思わず、声をあげてしまった。

 あまりの声の甘さに、自分が驚くほどだった。
 すると、征治さんがあわてて体を剥がすようにした。

「す……すみません! 俺は……なんてことを」

 申し訳無さそうに征治さんはしているけれど、私は謝る必要なんてないと思ったし、もっと触れて欲しいとすら思っていた。けれど、頭がぼんやりと、くらくらして、そこから記憶があいまいになり、目が覚めると、私は和室の布団で眠っていた。

 がばりと起き上がり、自分の様子を確かめたけれど、特に着衣の乱れなども無い。

「なんだ、夢か……」

 私は、一人だというのに、思わず声に出して言ってしまった。

 ……ものすごく、エッチな夢を見てしまった。
 目が覚めても、心臓がバクバクしているほどに。

 そして、私はいいかげん自覚すべきだ。
 私は、征治さんに恋をしている。
 多分生まれて初めての。

 母を失ったせいで、本能的に家族を欲しているのか、身近に初めて現れた異性だからなのか、理由は色々あるんだろうけれど、理由を確認したところで、私の心のありようはもうしっかり恋をしている女のものになっている。……気がする、多分。
< 41 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop