君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 津九音駅と、ゆかりの駅、万博パーク駅、研究都市駅どこから行こうか、という話になり、姉さんが決めた方がいいよ、と、礼門が言うので、私は津九音駅、研究都市駅、万博パーク駅、ゆかりの駅の順で周る事にした。

 つくねラインに乗った方が移動は早いけれど(何しろ駅が目的地なので)、電車移動中に白虎が現れた場合に対処できない事から、車で移動する事になった。

 津九音駅は、地下にある。礼門は母の遺骨と共に結界にもなっている車で待機。
 私は、征治さんと二人で、入場券を購入し、駅のホームまで降りてみた。

 ホームは一つで、片側の線路には、始発電車が出発を待機している。朝のラッシュタイムを避けているので、ホームは閑散としており、人影もまばらだ。

 津九音駅始発の列車はガラガラで、立っている人はいなかった。

「素子さん、何か、感じますか?」

「……これといって特には」

 征治さんと二人、並んで歩いている事で、ある種の緊張はしているけれど、それ以外に、何か大きな気持ちの変化のようなものは無い。

 津九音駅は、候補になっている四つの駅の中では、唯一乗り降りした事のある駅だった。

 就職の面接、部屋探しに来た時、今回、特に印象に変化は無い。

 轟音をたてて、列車が入線してくると、風が起こる。

「……次へ、行った方がいいかもしれません」

 今、待機している電車は快速の為、どちらにしろ隣の研究都市駅には停車しない。私達は駐車場で待機している礼門の元へ戻った。

「その様子だとハズレだったみたいだね」

 征治さんが車を発進させると、助手席で待機していた礼門が言った。

「礼門の予想は次の研究都市駅だよね」

 私が言うと、

「津九音山に一番近い駅だからね」

「津九音山は玄武の領域です、玄武の影響が強い場所には現れないのではないでしょうか?」

 征治さんが言った。

「……まあ、そうなんだけどさ、姉さん、姉さんはどこが一番可能性が高いと思う?」

 礼門に問われる。既に答えは用意してあった。

「万博パーク駅」

「理由は?」

「そもそもの召喚が行われた年代が気になって、調べてみた、といっても、ネットで検索しただけだけど。……召喚が行われたのは、科学万博の年よね?」

 研究施設を多く誘致し、首都移転の候補にもなったという、津九音市で開催された万博。
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