君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 研究都市駅は、高架の駅だった。周囲に商業施設が建ち並んでいるわりに、駅そのものはとても小さい、かわいらしい駅だ。

 津九音駅よりも、人が多いように感じられるのは、周りに商業施設と、バス亭が集中しているせいだろうか。

 ……けれど、残念ながら、こちらもはずれらしい。

 私は、あっさりと、移動を決めた。

 次は、万博パーク駅。津九音駅、研究都市駅と見て回った私の予感は確信に変わっていた。『印』があるとしたら、多分それはここにある。車を降りる、研究都市駅同様高架の駅だ。

 乗降人数を反映するように、人影は少ないが、反して、尋常では無い空気を感じて、私の肌はぴりりとなった。

 同様に、車に礼門と、母の遺骨を残す。私の感覚が正しいならば、ここに『印』が現れる。

 私は、確かめるように、礼門に言った。

「もし、白虎が魔獣化した場合は、どうするの?」

「……僕と征治で白虎を仕留める」

 うん、なら、安心だ。

「……私が、食われた場合は?」

 私は、ちゃんと聞けただろうか。

「……その場合は、白虎を再召喚して、新しい主が立つ」

「……そっか」

 泣いてはいけない、そう思って、笑顔を作って私は言った。

「短い間だったけど、楽しかったよ、母さん以外にも家族がいるってわかって、うれしかった、ありがとね、礼門、私、お姉さんらしい事、何もしてないけど」

「……そう、だよ、姉さんと、僕、ケンカだってしたかったし、もっと色々話もしたいし、誕生日のお祝いだって」

 礼門が、泣き出しそうになったので、私は征治さんと共に駅へ向かった。
 何となく、礼門は、征治さんに無様なところを見せたくないのではないかと思ったからだ。

 券売機のところで、私は征治さんに言った。

「ここから先は、私一人で行きます」

「何を言ってるんですか、危険です、私は、いや、俺はあなたの護衛ですよ?」

「はい、今日まで、ありがとうございました、……でも、守護聖獣の主には、私一人でならないといけないんですよね?」

「でも、せめておそばにいさせてください」

 せつなそうな征治さんの声に、私の胸は痛んだ。
 そんな風に見つめられると、ドキドキしてしまう、……困るなあ。
 私は、首をふって、言った。
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