君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
「あの、私も、征治さんや礼門みたいに、聖獣……白虎を、出す事ってできるんでしょうか」

 礼門がしぶしぶ自分の部屋へ戻り、征治さんと二人だけの気まずさを感じつつも、共通の話題を求めて私は言った。

「はい、できると思います」

「今、ここで試しても大丈夫でしょうか?」

 最初、見せてもらったのと同じように、私は自分の腕についているデバイスをリビングの空いているスペースへ向けた。

「素子さん、では、白虎の姿をイメージして、『聖獣召喚』と、言ってみてください」

 白虎のイメージ……。私は、万博パーク駅のホームで対峙した白虎の姿を思い描き、少し恥ずかしいけれど、思い切って声に出して言ってみた。

「せ……聖獣、召喚っ!」

 私は、目を閉じてしまったけれど、腕にピリッと静電気のような痛みが走った。
 恐る恐る目を開けると……。

 あ〜お♪

 目の前にいたのは、ちょっと大きめな白いトラじまの猫だった……。

「か……かわいいっ……、けど、万博パーク駅で見たのに比べて、ずいぶん小さい、というか……」

 白虎は、私の足元に擦り寄ってきて喉を鳴らしている。そしていると完全に子猫だった。

「いや、最初はそんなものです、私も、初めて青龍を呼んだ時は、少し大きめな蛇くらいでしたから」

 擦り寄ってくる白虎を抱き上げると、ふわふわで温かい。動物を飼ったことが無いので、抱き方がこれでいいのかわからなかったけれど、白虎は嫌がらずに、私の腕の中で機嫌よさそうに喉を鳴らした。

「うわ……かわいい、これくらいの子なら、ずっと一緒にいたいくらいです」

「素子さん、お気持ちはわかりますが、聖獣を顕現させている間、素子さん自身が消耗してしまいます。ずっとそのまま、だと、あなたの体への負担が大きいので、三十分ほどしたら、一度返した方がいいですよ」

「そうなんですか……」

 少しだけ残念な気もしたけれど、私は征治さんの言葉に従う事にした。

 その時、征治さんのデバイスがビープ音を鳴らした。

「せいじっ! エマージェンシー! 今すぐ俺の部屋へ! できれば、姉さんもっ!」

 私と征治さんは急ぎ、隣の礼門の部屋へ行った。玄関の鍵は開いていて、ポーチには見慣れない草履が揃えておいてあった。

 リビングには、白髪の老女がいた。
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