君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
大鼠の体にめり込む拳の感触が、次第に軽くなっていき、大鼠の体は、塵になって崩れていった。
さらさらになった砂を殴りつける感触が無くなって、はじめて私は、自分の拳を止めた。
礼門が、私を押さえつけ、落ち着けさせようとして、両肩を掴んでいた。
私は、肩で息をするように、大きく深呼吸して、ようやく落ち着いたのだった。
視界の端で、私は倒れている征治さんをとらえた。
心臓に氷水をかけられたような冷たさを感じ、私は征治さんの元へ駆け寄った。
青いスーツは破れもしていなかったし、出血も見当たらない。
けれど、意識が無いのか、征治さんは身じろぎすらしない。
……私は、母の死に目には会えなかった。
冷たい躯となった母と対面した記憶がフラシュバックする。
「……うそ、嫌、こんなの、嫌あっ!」
私は横たわる征治さんを抱き起こし、揺さぶった。
「私、まだ何も言ってない、もう、伝えられないのは嫌、征治さん! 征治さんッ!」
頬に、風があたっているのがわかった。私の変身は、既に解けていた。
大粒の涙が頬を伝い、落ちていく。
「私、あなたが好き」
征治さんを胸に抱きながら、私は繰り返した。
わずかに逡巡したばかりに、私は伝えそこなってしまった。
今更遅いかもしれない。
でも、私は心に詰まっていた思いを全て吐き出すように言い続けた。
「征治さんの事が好き……」
さらさらになった砂を殴りつける感触が無くなって、はじめて私は、自分の拳を止めた。
礼門が、私を押さえつけ、落ち着けさせようとして、両肩を掴んでいた。
私は、肩で息をするように、大きく深呼吸して、ようやく落ち着いたのだった。
視界の端で、私は倒れている征治さんをとらえた。
心臓に氷水をかけられたような冷たさを感じ、私は征治さんの元へ駆け寄った。
青いスーツは破れもしていなかったし、出血も見当たらない。
けれど、意識が無いのか、征治さんは身じろぎすらしない。
……私は、母の死に目には会えなかった。
冷たい躯となった母と対面した記憶がフラシュバックする。
「……うそ、嫌、こんなの、嫌あっ!」
私は横たわる征治さんを抱き起こし、揺さぶった。
「私、まだ何も言ってない、もう、伝えられないのは嫌、征治さん! 征治さんッ!」
頬に、風があたっているのがわかった。私の変身は、既に解けていた。
大粒の涙が頬を伝い、落ちていく。
「私、あなたが好き」
征治さんを胸に抱きながら、私は繰り返した。
わずかに逡巡したばかりに、私は伝えそこなってしまった。
今更遅いかもしれない。
でも、私は心に詰まっていた思いを全て吐き出すように言い続けた。
「征治さんの事が好き……」