君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
征治さんは続けた。
「たとえば、素子さんが遠出をされる時、修学旅行や、大学受験、そのほか、長期間、奥様の保護下より出られる時に。……もちろん、大きな事故や、事件も起きませんでしたし、魔獣の脅威にさらされる事もありませんでした、結果的に、これらは杞憂に終わったのですが……」
「奥様が、亡くなられて、打ちひしがれるあなたを、お支えしたいと思ってしまいました、……ご迷惑、とは思いましたが……」
「だから、素子さんが、白虎と対峙した時に、素子さんは、奥様の、お母様に疎まれていたのでは無いかと、不安だったとおっしゃっていましたが、そうじゃないんです、それは……俺が、保証します」
征治さんの言葉、私の事を好きだと言ってくれたその言葉もうれしかったけれど、私は、母と父が私の身を案じてくれていた事に、今気づいた。
「私、いらない子じゃ、なかったんですね……」
「違います! そんな事、絶対に無いんです、俺にも……あなたは、必要な人なんです。……若にとっても」
征治さんが、私を抱きしめた。少しぎこちない、けれど、暖かくて、居心地のよい、腕。
「俺……実は、若が一緒に住むことになってくれて、少しだけほっとしています、でないと、また、……あなたに、不埒な真似をしてしまいそうで」
「え? 征治さん、私に何かしましたっけ?」
「その……一緒に、お酒を飲んで……その」
お酒? 征治さんと、って、あれは、夢……では、ふと、見上げると、征治さんが真っ赤になっていた。
そうか、あれ、夢じゃ……無かったんだ。
とたんに、私も真っ赤になってしまった。
「あ……、あれは……」
私は、それ以上の言葉を言う事ができなかった。
「素子さん……」
征治さんにじっと見つめられると、身動きができない。
私が真っ直ぐに征治さんを見つめ返すと、
「はいストーーーーーーーップ!」
礼門が私と征治さんを引き剥がした。
けれど、征治さんが奪い返すように私を抱き寄せる。
「ダメです、若にも邪魔はさせません! 私は、素子さんを愛しています」
恥ずかしげもなく征治さんが言い切ると、さすがに礼門も少しひるんだ。
「お前……よくも言い切ったね……」
「姉さんは!? いいの? それで」
「……うん、私も、征治さんが好き」