ヒトリノセカイ


「2個目のバンドなんで」

バンド?

顔を上げる。

あたしは、その紙を手に、立ち尽くした。

彼は、口角をきゅっと吊り上げて、目をうっすら細くして、綺麗に微笑んでいた。

彼の胸の矢は、あたしに刺さりそうな位置にある。

「じゃあね」

あたしは、その紙を手に、振り返って彼を見た。

背中からも、矢が見える。

どうしよう、こんなん、目が離せるわけない。
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