【長編】戦(イクサ)林羅山篇
忠輝の改易、配流
秀忠は忠輝を呼び出した。
「忠輝、そなたを改易し伊勢、朝
熊山へ配流とする。これからそな
たには苦難が待っていようが自刃
してはならぬ。生き抜いて武士の
あるべき姿を示せ。それが亡き父
上のそなたへの遺言じゃ」
「はっ、寛大なる処置、身に余る
光栄にございます。しかし、私は
兄上に逆らうかもしれません。そ
の時はどうなさいますか」
「かつて諸葛孔明は敵対する孟獲
を七たび捕らえて七たび釈放し、
屈服させたと聞く。わしもそなた
を何度でも配流するつもりじゃ」
「これは面白い。上様にそれがで
きるかやってみましょう」
こうして忠輝は改易され伊勢、
朝熊山へ配流された。
「忠輝、そなたを改易し伊勢、朝
熊山へ配流とする。これからそな
たには苦難が待っていようが自刃
してはならぬ。生き抜いて武士の
あるべき姿を示せ。それが亡き父
上のそなたへの遺言じゃ」
「はっ、寛大なる処置、身に余る
光栄にございます。しかし、私は
兄上に逆らうかもしれません。そ
の時はどうなさいますか」
「かつて諸葛孔明は敵対する孟獲
を七たび捕らえて七たび釈放し、
屈服させたと聞く。わしもそなた
を何度でも配流するつもりじゃ」
「これは面白い。上様にそれがで
きるかやってみましょう」
こうして忠輝は改易され伊勢、
朝熊山へ配流された。