【長編】戦(イクサ)林羅山篇
理想の国
朝鮮の使節は幕府が豊臣家を滅
ぼしたことを祝うために来たのだ
が、秀忠の国書には「日本国王」
と書かず「日本国源秀忠」と書い
ていることに疑念を抱いていた。
これを問いただされた幕府は、土
井利勝、本多正純、安藤重信、板
倉勝重、崇伝が集まり協議した。
その末席に道春も加わった。
日本は朝鮮を対等の国とは認め
ず、未開人のように見下していた
ため「日本国王」と書いた国書を
送るほどの相手ではないという慣
習があった。
崇伝はこれにならい今度も「日
本国王」と書かないことを主張し
た。それに道春も賛同し、さらに
朝鮮人に敬称すら必要ないと主張
して秀忠に承認された。
道春の中に(戦をなくした日本
こそがどの国よりも理想の国だ)
という気持ちが芽生えていた。
ぼしたことを祝うために来たのだ
が、秀忠の国書には「日本国王」
と書かず「日本国源秀忠」と書い
ていることに疑念を抱いていた。
これを問いただされた幕府は、土
井利勝、本多正純、安藤重信、板
倉勝重、崇伝が集まり協議した。
その末席に道春も加わった。
日本は朝鮮を対等の国とは認め
ず、未開人のように見下していた
ため「日本国王」と書いた国書を
送るほどの相手ではないという慣
習があった。
崇伝はこれにならい今度も「日
本国王」と書かないことを主張し
た。それに道春も賛同し、さらに
朝鮮人に敬称すら必要ないと主張
して秀忠に承認された。
道春の中に(戦をなくした日本
こそがどの国よりも理想の国だ)
という気持ちが芽生えていた。