【長編】戦(イクサ)林羅山篇
最後の問い
一瞬静まり返った謁見の間。
得意げに笑みを浮かべる家康に
羅山はゆっくりと答えはじめた。
「沢蘭にございます。屈原は楚の
懐王、襄王に仕えた長官で疲弊し
た国を復興しようと努力しました
が反対派の企みにより江南に左遷
され、その後、身を投じて死にま
した。その屈原が愛でたのは沢に
咲く素朴な蘭にございます」
家康は屈原と小早川秀秋の後世
をだぶらせて問うた意図を羅山に
見抜かれたことに感心し、一息つ
いた。
「お三方どうじゃ。羅山殿は若い
が優れた博識がある。認めてもよ
かろう」
三人は深くうなずき同意した。
このことは城内はもとより、世
間にも知れ渡った。
得意げに笑みを浮かべる家康に
羅山はゆっくりと答えはじめた。
「沢蘭にございます。屈原は楚の
懐王、襄王に仕えた長官で疲弊し
た国を復興しようと努力しました
が反対派の企みにより江南に左遷
され、その後、身を投じて死にま
した。その屈原が愛でたのは沢に
咲く素朴な蘭にございます」
家康は屈原と小早川秀秋の後世
をだぶらせて問うた意図を羅山に
見抜かれたことに感心し、一息つ
いた。
「お三方どうじゃ。羅山殿は若い
が優れた博識がある。認めてもよ
かろう」
三人は深くうなずき同意した。
このことは城内はもとより、世
間にも知れ渡った。