【長編】戦(イクサ)林羅山篇
朝廷の態度
家光は秀忠の追号の協議で結論
が出なかったことを聞き、この機
会に朝廷がどのような態度に出る
かを探るため、道春に衡岳院太上
天皇の尊号も含めて朝廷に奏請す
るよう命じた。
道春は二月に江戸を発ち、京に
着くと京都所司代の板倉重宗、元
内大臣の三条西実条、武家伝奏の
日野資勝らと会い、秀忠の追号を
奏請した。
しばらくして江戸に戻った道春
は家光のもとに向かった。
「上様、ただいま戻りました。大
御所様の追号のこと、朝廷として
は大御所様が太上天皇の尊号にふ
さわしいお方ではあるが、帝とな
られたことはなく、まずは正一位
を贈り、太政大臣とするのが順当
であろとのことにございます」
「ふむ、もっともなことだ。これ
で朝廷の面目が立ち、民の動揺も
ないであろう。道春、大儀であっ
た」
「恐れ入ります」
が出なかったことを聞き、この機
会に朝廷がどのような態度に出る
かを探るため、道春に衡岳院太上
天皇の尊号も含めて朝廷に奏請す
るよう命じた。
道春は二月に江戸を発ち、京に
着くと京都所司代の板倉重宗、元
内大臣の三条西実条、武家伝奏の
日野資勝らと会い、秀忠の追号を
奏請した。
しばらくして江戸に戻った道春
は家光のもとに向かった。
「上様、ただいま戻りました。大
御所様の追号のこと、朝廷として
は大御所様が太上天皇の尊号にふ
さわしいお方ではあるが、帝とな
られたことはなく、まずは正一位
を贈り、太政大臣とするのが順当
であろとのことにございます」
「ふむ、もっともなことだ。これ
で朝廷の面目が立ち、民の動揺も
ないであろう。道春、大儀であっ
た」
「恐れ入ります」