【長編】戦(イクサ)林羅山篇
振の死
寛永十七年(一六四〇年)
家光は消失した江戸城、本丸が
再建されるまで西の丸に移ってい
た。
この年は家康の二十五回忌にあ
たるため家光は日光、東照社に参
拝。これに道春も同行して、この
時の様子を「斎会の記」にまとめ
た。
江戸に戻って来た家光が政務に
励んでいると、大奥から寝込んで
いた振の容態が悪化したとの知ら
せがあり駆けつけるとすでに虫の
息で昏睡状態のまましばらくして
亡くなった。
家光は愕然とし、振から千代を
引き離したことを後悔した。しか
し自分の病弱な身体のことを考え
ればここで立ち止まってはいられ
ない。なんとしても後継者を誕生
させなければとの思いを強くし
た。
家光は消失した江戸城、本丸が
再建されるまで西の丸に移ってい
た。
この年は家康の二十五回忌にあ
たるため家光は日光、東照社に参
拝。これに道春も同行して、この
時の様子を「斎会の記」にまとめ
た。
江戸に戻って来た家光が政務に
励んでいると、大奥から寝込んで
いた振の容態が悪化したとの知ら
せがあり駆けつけるとすでに虫の
息で昏睡状態のまましばらくして
亡くなった。
家光は愕然とし、振から千代を
引き離したことを後悔した。しか
し自分の病弱な身体のことを考え
ればここで立ち止まってはいられ
ない。なんとしても後継者を誕生
させなければとの思いを強くし
た。