【長編】戦(イクサ)林羅山篇
キリシタン
 二人への処罰は大八が火刑、晴
信は流罪の後、切腹を命じられた
が晴信はキリシタンだったため家
臣に首を斬らせた。
 大八もキリシタンで、詰問され
た時に幕府内に多くのキリシタン
がいることを白状した。
 家康はこの時はじめてキリシタ
ンの影響力が強くなっていること
を知り、キリシタン禁教令を出
し、京の教会を破壊させた。
 このことで発言権を増したのが
崇伝で、以前に亡くなった相国寺
の承兌長老に続いて円光寺の元佶
長老も亡くなり、天海と双璧をな
す存在として勢力を拡大していっ
た。
 道春はキリシタンのハビアンと
論争したことを思い起こしてい
た。噂にハビアンは棄教して今は
キリシタンを批判するようになっ
ていると聞く。
(武器を使わない戦もあるのか)
 道春は人の欲を抑えられない宗
教に空しさを感じた。
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