大剣のエーテル
ぱしっ!
差し伸べたはずの手が、払われる。
私を瞳に映した患者達が、一斉に表情を強張らせた。
「ひっ…!」と後ずさりをした人もいる。
(え…?)
怯えや敵意に満ちた視線に、どきり、として動きを止めると、患者達は冷たく口を開いた。
「あなたは、一派の仲間なのか?それともエーテルに捕らえられた犯罪者か?」
予想もしていなかった問いに、つい声が出る。
「ち、違います…!どうしてそんなことを…」
動揺しながら反論すると、私の前に座り込むおじいさんが低く言った。
「君は、“魔力をもっていない”んだろう?わしらはちゃんと聞いたぞ…!」
患者達は疑いの眼差しで口々に続ける。
「魔力をもっていないなんて、エーテルに魔法陣を砕かれた犯罪者以外にいないじゃない…!」
「好意的に助けるフリをして、私らの魔力でも奪う気なのかい…?!」
「もう、一派に関わるのはごめんだ…!助けてくれ、俺たちに近づかないでくれ!」