大剣のエーテル
と、その時。
噴水の方から、こちらに歩いてくる青年達の姿が見えた。
「ノアちゃん、お待たせ〜。」
穏やかな顔でひらひらと手を振るランバートに、体の力が抜ける。
だが、にこやかなランバートとは逆に、後ろを歩くイヴァンさんとルタは険しい顔だ。
「あ!古本市だぁっ!ノアちゃん、いい本あった?」
「本は後だ、ボケ!」
ぱぁっ!と目を輝かせるランバートの後頭部を、すぱんッ!とはたいたイヴァンさんは「ちっ!」と舌打ちをして呟いた。
「くそ…。エーテルの支局に行けばロルフに会えるとふんでいた俺が甘かった。」
いつもより殺し屋オーラが数倍濃いイヴァンさんに、私は恐る恐る尋ねる。
「ロルフさんには、会えなかったの?まさか、巡回に出た後だったとか?」
すると、イヴァンさんは「いや。」と低く言葉を続けた。
「エーテル支局の隊員の話では、ロルフは雑務に飽き、書類を放り出して窓から逃走したそうだ。」
「え?!」