大剣のエーテル

つい、声を上げた瞬間。

いつもより数百倍冷たい瞳をしたルタが続けて口を開く。


「あの戦闘バカ…。2階から飛び降りるなんて信じられない。迷子探しはうんざりなんだけど。俺、宿に行ってていい?」


「行かせるわけねぇだろ。…ルタ。お前も道連れだ。」


低く唸るイヴァンさんに、ルタが不機嫌そうに眉を寄せた。

その時、ランバートがからり、と笑って口を開く。


「まぁまぁ。意外とすぐ見つかるんじゃない?あの“ワインレッドの髪”と“薔薇色の瞳”は遠くからでも目立つし。」


(…ん…?)


ランバートの言葉に、何かが引っかかる。

ルタも、彼の言葉に続けてため息をついた。


「確かに、奴は騒ぎを起こす天才だからね。野次馬が集まってるところとか、女がたくさんいるとことかに向かえばすぐ捕まるでしょ。」


私は、彼らの言葉に“嫌な予感”がして、ぞくり、と震える。


「あ、あの……」


おずおずと口を開いた私に、エーテル達の視線が集まる。


「ロルフさんって、“ワインレッドの髪”に“薔薇色の瞳”なの?」


「?うん、そうだよ。」


きょとん、として答えたランバートに、私は続ける。


「まさかとは思うけど…ぱっちり二重の猫目で、まつ毛が長い……?」


すると、イヴァンさんが驚いたように眉を上げて答えた。


「おぉ、その通りだ。ノア、何でそれを知ってるんだ?…まさか、あいつを見かけでもしたのか?」

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