大剣のエーテル

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タッタッタッ…!


ハロルドさんの案内のもと、どこまでも続く廊下をひたすら走る。

必然のように始まったロルフさんとの鬼ごっこは、終わる気配を見せない。


「あの悪ガキ、どこ行きやがった!」


イヴァンさんがギン!と睨みを利かせながら辺りを見回すが、赤髪の青年の姿はなかった。


(私たちがあてもなく走り回っても、ロルフさんが逃げ回っている以上追いつく気がしない…!)


と、その時。ぴくり、とランバートが肩を震わせる。


「ランバート?どうしたの?」


急に立ち止まった彼にそう尋ねると、ランバートはくるり、と右手に伸びる廊下へ視線を向けて答えた。


「…ロルフの魔力を感じる。きっと、あいつはこの先だ!」


(!)


ランバートの言葉を聞き、私たちは一斉に右へ旋回した。

足音が廊下に響く。


タッ、タッ、タッ…


突き当たりまで来ると、角を曲がった先には階段が伸びていた。

広々としたレガリア本部は、上に高くそびえる建物だ。

見上げてみると、数え切れないほどの階段に目がくらむ。

そして、どこにも人影は見えなかった。


(魔力は確実に近くにあるはずなのに…。一体どこにいるんだろう?)


辺りに緊張感が立ち込めた

次の瞬間だった。

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