大剣のエーテル


ブワッ!!


突然、頬に熱風を感じた。

はっ!として見上げると、そこには階段の手すりに足をかけた“青年”の姿。


(!)


トッ!


すると彼は、軽い身のこなしで階段からこちらへ飛び降りた。


(危な……?!)


思わず目を見開いた瞬間。

彼は流れるような動作で魔法陣を広げる。

そこから放たれたのは、燃えさかる炎の渦だった。


(!!嘘でしょ?!)


驚きで体が固まる。

その時、ランバートが私を炎から守るように素早く抱き寄せた。

たくましい腕に包まれると同時に、ルタが炎の前に躍り出る。


パキパキパキ…!


ルタの魔法陣から大きな氷の結晶が放たれた。

熱風で氷が水となり、炎と相殺しながら勢いを静めていく。


(な、何が起こったの…?!)


混乱状態でランバートにしがみついた次の瞬間。

イヴァンさんの低い声が響き渡った。


「おいやめろ!熱いだろうが!俺たちはレガリアの追っ手じゃねぇぞ、ロルフ!」


(…!“ロルフ”…?)


と、その瞬間、炎がふっ、と消える。

霧の向こうに見えたのは、ワインレッドの髪の青年だった。


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