大剣のエーテル


「…あ…?お前ら……」


青年が、ぽつりと呟いた。

そして私たちの顔を見るなり、ぱぁっ!と顔を輝かせる。


「エーテルじゃねぇか!久しぶりだなー!何でこんなとこにいるんだ?まさか、お前らも捕まったのか?」


「んなわけあるか、ボケ!お前を迎えに来たに決まってんだろ!」


からりと笑う青年に、イヴァンさんが怒号を飛ばした。

青年をまじまじと観察してみると、やはり私が広場で出会った彼と同一人物のようだ。


(やっぱり、この人がロルフさんだったんだ…!)


その時、ハロルドさんが口を開く。


「ロルフの兄貴、本部長はどこに?一緒じゃあないんスか?」


言われてみれば、確かに、人質としているはずの本部長の姿がない。

すると、薔薇色の瞳の青年は悪びれもせずに、さらり、と言い放った。


「あぁ。あのオッサンなら、取り調べ室を出る時に“協力”してもらって、すぐに撒いた。その後は知らねぇよ。」


(か、可哀想に…。本部長さんは、さぞ、“ぞんざい”な扱われ方をしたんだろうな。)


その時、魔法陣を消したルタが低く口を開いた。


「出会い頭に攻撃魔法とかやめてくれない?火を使うしか能がないなんて、原始人なの?あんた。」


「あ…?」


ギロリ、とルタに視線を向けたロルフさんは喧嘩腰で言い放つ。


「誰が進化前の猿だ、コラ!俺は一応、機械も使えるからなッ!お前の飛ばした氷削って、かき氷でも作ってやろうか!」


「俺の氷は食用じゃないんだよ。…はぁ、前に会った時から何一つ成長してないね。あんた、暑苦しいくせに頭ん中は氷河期なの?」


「…なん、だと…?」


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