大剣のエーテル

「え、っと…」


どこから話そうか戸惑っていると、後ろからぎゅっ!と抱きしめられた。


(!)


ぴくり、と反応すると、肩越しにランバートの声が聞こえる。


「ロルフ、この子はダメだよ。ノアちゃんをさらってきたのは俺だから。」


「…!」


薔薇色の瞳が、驚きで見開かれた。

だが、その表情はすぐにニヤリ、とした笑みに変わる。


「へぇ…。珍しいな、ランバートが女に手ぇ出すなんて。お前ら“そういう関係”だったのかよ?」


「そこ聞く?照れるなー。ロルフなら察してよ。」


(ちょっ…!何言ってるの!)


私は意味深な返答をするランバートの腕から必死で抜け出し、「私とランバートはただの旅仲間であって、手も出されてません!」と訴えた。

くすくすと笑うランバートを軽く睨んでいると、ロルフさんが私に声をかける。


「そういや、自己紹介がまだだったな。俺はロルフ。歳はランバートの二つ上だ。よろしくな。」


「!ノアです。よろしくお願いしま…」


「あー、敬語とか堅っ苦しいのはナシにしようぜ。ロルフって呼べば返事するからよ。」


フランクな彼は、エーテルの中では若い団員らしい。


(歳が近いからランバートとも仲が良いのかな?)


本人たち曰く“悪友”関係のランバートとロルフは、お互い話したいことが溜まっているようにうずうずしている。

しかし、次の瞬間。

再会に浸る余韻もなく、再び本部内に警報が響き渡った。

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